インシデントを書くときの気持ち

インシデントを書くときの気持ち

普段何気なく読む新聞でも、看護師をしていると、医療関係の記事には敏感に反応したりします。そんな中で、こんなこと起こるの?と驚くこともあれば、またこんな事故が起こってしまった、これに近いことがうちの職場でもあったなぁ、防ぐ仕組みはなかったのかなぁとよく思ったりします。
 医療現場は、生き物みたいなもので、突発的に不測の事態が起きたり、すぐに対応しないと患者さんの命に関わることが起こったりします。
1つの重大事故があれば、29の軽い事故があり、300件のインシデントが潜んでいることになる、というハインリッヒの法則を知った時は、小さなミスはやはり大きな事故につながり、大きな事故のあった現場は小さなミスを対処してこなかった結果なんだと思うようになりました。
 私の職場では、インシデント、つまり、誤った医療行為を未然に防げた事例、実際に誤った医療行為があったけれど、患者さんには影響がなかった事例を記録し、職員全員でその事例を共有し、次に生かすような仕組みを取っています。
 しかし、この記録する、ということは時に勇気もいることなのです。
 自分が起こしたミスは自分への戒めを込めて書けるのですが、あまりにも初歩的なミスをしてしまった場合は、自分の信用問題にもなるので、書くことをためらってしまうことがあります。それに、同僚や先輩看護師が起こしたインシデントを記録することは非常に勇気がいります。この記録がこの先働いていく人間関係に悪い影響を及ぼすのではないか、知らなかったことにしてしまおうか、といったことで心も揺れてしまいます。
 でも、看護師として一番大事なのは患者さん。
 患者さんのためにどちらが良いのか、と考えれば、きちんと記録していくことが、やはり、目の前にいる患者さんのためだけでなく、後に続く患者さんを救うことにもつながっていくわけなんですよね。
小さなミスは必ず大きな事故を防ぐことを教えてくれている、そう思いながら、インシデントを記録しています。